「リバースモーゲージ」「不動産担保ローン」「リースバック」何が違うの?
老後のための資金を確保したい方や年金収入より支出を上回って困っている方など、
まとまった資金をつくりたい等のご要望があるかと思います。
ご自宅を持っている方であれば、「リバースモーゲージ」や「不動産担保ローン」、「リースバック」等を検討される方もいらっしゃると思います。
それぞれの特徴やどんな方に向いているサービスなのか、詳しくみていきましょう。
まず、「リバースモーゲージ」「不動産担保ローン」「リースバック」、
いずれも物件を所有していることが前提となります。
「リバースモーゲージ」とは、
自宅を担保にご自宅に住み続けながら、融資を受けられるシニア世代向けのローン商品です。
多くの金融機関が満60歳以上(55歳以上のところもある)のサービスとなっています。
契約者(債務者)が亡くなったときに、自宅を売却して元本と利息を返します。
そのため、契約者は、契約期間中は利息のみを返すことになります。
契約者が亡くなったときに自宅を失う可能性があるので、
自分が亡くなった後に家を残す予定が無い人にとっては、メリットがあるといえます。
「不動産担保ローン」とは、
土地、住宅等の建物を担保にお金を借りられる金融商品です。
不動産担保ローンは、無担保ローンに比べて借入可能額(借入限度額)が高く設定されるケースが多いです。
無担保ローンの借入可能額(借入限度額)は10万~800万円ほどが多いですが、
不動産担保ローンの場合、不動産の価値にによっては、大きく借り入れできる場合があります。
不動産の担保の目安は7割程度となります。
1,000万円の価値がある不動産でも、借入可能額(借入限度額)は700万円ぐらいのなることが一般的です。
「リースバック」とは、
所有している不動産を売却して、資金をつくり、同じ自宅にそのまま賃貸で住み続けることができるサービスのことです。
短期間で自宅を現金化でき、引っ越し等をすることも無く、また、一時的な資金が必要な方にとっては、将来的に買戻しをすることもできます。
ただし、一旦は売却してしまうので、所有権は買主に移転してしまいます。
「リバースモーゲージ」「不動産担保ローン」「リースバック」どんな人が向いているの?
「リバースモーゲージ」「不動産担保ローン」「リースバック」は、それぞれ特徴が異なります。
どんな人に向いているサービスなのか、それぞれの特徴と合わせて比較してみましょう。
「リバースモーゲージ」に向いている人
年金収入にプラスして、ゆとりのある生活をしたい方、
年金収入では生活費に足りなくて、毎月の費用負担を抑えたい方、
このような方に、「リバースモーゲージ」はおすすめです。
リバースモーゲージは毎月の返済は利息のみなので、家計に響きにくいという特徴があります。
年金収入にリバースモーゲージで毎月5万円の融資を受けるようにすれば、
生活費に少しゆとりを持つことができるでしょう。
ただし、契約者が亡くなったときに自宅を売却して元本と利息を返す仕組みとなっているため、
死後、自宅を失う可能性があります。
家を遺産として残すことができないので、相続人がいない、子世代が家を相続する意思がないという方には向いているといえるでしょう。
「不動産担保ローン」に向いている人
高額な融資を受けたい方には、「不動産担保ローン」がおすすめです。
不動産担保ローンの場合、不動産の価値にによっては、大きく借り入れができる場合があります。
また、長期で返済期間を組むことができるため、毎月の返済金額を低く抑えたい方にも向いています。
ただし、万が一返済ができなくなった場合は、担保にした不動産が競売となる恐れがあるため、
利用前に返済が確実にできるかどうか、しっかりとした返済計画を立てる必要があります。
「リースバック」
短期間で自由に使えるまとまった資金を得たいという人に特におすすめです。
「リバースモーゲージ」や「不動産担保ローン」に比べて、条件によっては融資を受けるまでの期間を圧倒的に短くすることができます。治療費や事業資金等、急を要する資金にも対応可能です。
また、売却後に賃貸でそのまま住み続けられるので、「リバースモーゲージ」や「不動産担保ローン」等のように返済計画などは必要なく、毎月の賃料を気を付けておくだけで良いでしょう。
賃料は発生してしまうもなので、はじめの設定する段階で無理のない賃料設定をしておくと良いでしょう。
加えて、新居へ引っ越し予定や施設へ入居予定などの期間の定めがある場合も「リースバック」が向いています。
売却資金を持って、次の入居先までの間、賃貸で住むことができます。
売却した後に、入居までの期間を住むための仮住まいを探す等の必要がないので、
「リースバック」を利用するのも一案といえるでしょう。
「リバースモーゲージ」「不動産担保ローン」「リースバック」、審査基準とは?
それぞれのサービスの審査基準は異なるのでしょうか。比較してみてみましょう。
「リバースモーゲージ」
リバースモーゲージはシニア層向けの資金調達の手段とはいえ、借り入れであるため、
利用にあたっては契約する方、対象となる物件について審査が必要となっています。
詳細は金融機関により異なりますが、ポイントとなる部分をまとめていますので、
参考にしていただけると良いかと思います。
①資金用途
資金用途は老後の生活資金、住宅ローンの借り換え、自宅の購入、リフォーム、子どもの家の取得費、老人ホームなどの入居一時金等となっている事が多いです。事業資金としては利用が認められていないことが多いので注意が必要です。
②年齢制限
年齢の下限は50歳代~60歳代、上限は80歳代~84歳ぐらいまでとしていることが多いです。
シニア向けの金融商品となるため下限があるのも特徴です。
下限だけでなく、上限を設定している金融機関も多いため、注意が必要です。
➂前年度の収入金額、収入形態
リバースモーゲージは借り入れ額に対する利息が滞りなく支払えるかどうかを審査されますので、
収入金額、収入形態を審査されます。
継続的に収入が安定していれば所得の種類(給与収入か年金収入か等)は問われません。
④その他借り入れ状況
他の金融機関からの借り入れの有無や、その借入金額、何社からの借り入れがあるのかという点等も
判断基準になります。借入金額の大きさや、借り入れている金融機関の数の多さで審査の通過しやすさが変わります。
⑤不動産評価額
土地と建物あわせて概ね1,500万円以上の評価額であることが条件となっていることが多いです。
固定資産税の納税通知書で確認したり、不動産会社へ査定依頼をしてみる等、事前準備をしておくと良いでしょう。
「リバースモーゲージ」では、融資を受けるまでの期間は概ね1ヵ月~1ヵ月半程度とされています。
「不動産担保ローン」
「不動産担保ローン」では、特に「信用力」と「不動産価値」が重要となってきます。
具体的にどのようなポイントで審査されるかをみてきましょう。
①資金用途
事業資金や運転資金、融資先の整理やつなぎ融資、不動産購入やリフォーム資金等、資金用途は自由であることが多いとされています。資金用途については、特に注意しておくことは無いか思います。
②年齢
多くの場合は年齢制限があり、「借入時70歳未満」としていたり、完済時の年齢に制限を設けている場合もあります。
預金業務を行わず、貸付に特化している「ノンバンク」が提供する不動産担保ローンのなかには、
年齢制限なしで利用できるものもあります。
年齢で条件が合わない方にとっては「ノンバンク」が提供する不動産担保ローンなどを検討するのも良いかと思います。
➂収入・収入形態
不動産担保ローンでは、申込者の返済能力が重要です。返済能力で主に見られるのは自分の収入であり、勤続年数や年収、職業形態などが考慮されます。個人事業主や法人の場合は、事業に伴う入金サイクルが安定していないなら、返済能力が無いと判断されるケースもあるため注意すべきです。
また、「返済負担率」もポイントとなります。
毎月の返済負担率が高いほど評価は悪くなり、審査に通過する可能性も低る場合がありますので、
無理のない返済計画を考えて、審査に臨むと良いでしょう。
④その他借り入れ状況
他の金融機関からの借り入れの有無や、その借入金額、何社からの借り入れがあるのかという点等も
信用力の判断基準になります。
借入金額の大きさや、借り入れている金融機関の数の多さで審査の通過しやすさが変わります。
⑤不動産評価額
借り入れの担保不動産の価値が高いほど審査に通りやすく、大きな金額のローンが組めることになります。
「不動産担保ローン」では、融資を受けるまでに必要な期間は概ね、約1ヶ月とされています。
「リースバック」
「リースバック」の審査基準とは、どのようなものがあるでしょうか。みていきましょう。
①資金用途に特に制限はない
「リースバック」の資金用途には制限がないことが多いです。
治療費や教育費、家の購入、リフォーム、施設入居費用、事業資金、様々な用途にご利用可能です。個人的な旅行費用や趣味のために利用いただいても特に問題ありません。
②年齢や収入による制限がない
所有している家を売却して資金をつくるため、他の「リバースモーゲージ」や「不動産担保ローン」のような借り入れとは違い、金融機関のような審査は必要無く、年齢や収入による制限もないのが特徴です。
➂不動産評価によって、売却価格が変わってくる
物件元々の不動産評価を元に、売却価格が変わってくるため、どのぐらいの金額を得たいか等、あらかじめ考えておくのが良いでしょう。
「リースバック」は売却までの期間や自分がどのぐらいの金額で売却したいかにもよって、不動産会社の動きが変わってきます。
より高値で売却したい場合は時間をかけて希望金額に見合う買取先を探すとができますが、売却に至るまで時間がかかる事が予想されます。
短期間で売却したい場合は不動産会社に買い取ってもらう事ができますが、その場合は相場よりも売却価格が低くなってしまう可能性があります。
売却希望額、期間をリースバック専門不動産会社に相談しながら、適切な方法を提案してもらうのが良いでしょう。
「リースバック」では、資金調達までに、状況によっても異なりますが、最短で5日~可能となっております。
おわりに
今回は「リバースモーゲージ」「不動産担保ローン」「リースバック」それぞれの特徴について、
みていきました。
どれも自宅を所有している方の資金調達となりますが、審査基準や資金調達までの期間等が、異なることが分かりました。
ご自身のご希望に合うものを見つけて、そのサービスを扱う金融機関や不動産会社に相談するのが良いでしょう。
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